タロットの起源 諸説

タロットの歴史

タロットのふるさとを訪ねて:15世紀イタリアから始まった神秘の旅

「タロットカードって、一体いつ、どこで生まれたの?」 そんな風に不思議に思ったことはありませんか?

星の瞬きやカードの絵柄に運命を託すとき、私たちはどこか遠い異国の、古い時代の空気を感じているのかもしれません。

実は、歴史学の世界でたどり着いた一つの答えは、**「15世紀の北イタリアで、貴族たちが遊ぶ優雅なゲームとして生まれた」**という意外なものでした。 現代のように占いとして親しまれるずっと前、タロットは華やかな宮廷で楽しまれる「トリオンフィ(凱旋)」という名前のカードゲームだったのです。

一方で、タロットにはもう一つの顔があります。 それは長らく信じられてきた、**「古代エジプトの失われた叡智」や「神秘思想カバラの秘儀」**といった、胸がときめくような起源の物語です。

本稿では、ルネサンス期のイタリアで誕生したタロットが、どのようにして18世紀以降に神秘的な「魔法の道具」へと姿を変え、現代のデジタル時代に至るまで愛され続けてきたのか、そのドラマチックな変遷を一緒に紐解いていきましょう。

歴史という確かな足跡と、神秘という美しいロマン。 その両方を知ることで、あなたの手元にあるカードが、今日から少し違って見えるかもしれません。

タロットが歩んだ道のり:時代ごとのストーリー

タロットの歴史を紐解くと、時代ごとにその姿を大きく変えてきたことがわかります 。大きく4つのステージに分けて見ていきましょう。

15〜18世紀:優雅なゲームとしての誕生

タロットの始まりは、ルネサンスに沸く15世紀のイタリアでした 。 意外なことに、当時は「神秘の書」ではなく、宮廷で親しまれていた洗練されたカードゲームの道具だったのです

1440年代、歴史にその名が登場

当時の公証人の記録や家計簿に、タロットの原型である「トリオンフィ(凱旋)」という言葉が初めて記されました 。

貴族が愛した豪華な手描きカード

ミラノ公国で作られた「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」のように、当時のカードはとても豪華な贈答品でもありました 。

「タロッキ」の定着

1505年頃には、現在私たちが使っている「タロット」の呼び名の由来となる「タロッキ(tarocchi)」という名称が「トリオンフィ」に変わって定着していきました 。

19世紀:神秘のベールに包まれた「起源神話」

フランス革命後のパリで、タロットは劇的な変身を遂げます 。実際の歴史とは別に、心躍るような「神秘的な物語」が次々と作られていきました 。

エジプトへの憧れから生まれた伝説

1781年、牧師のクール・ド・ジェブランが「タロットは古代エジプトの叡智が記された『トートの書』だ」と発表し、ここからオカルトとしてのタロットが始まりました

占いとしての完成

その後、エテイラという人物によって、タロットは世界で初めて「占い専用のツール」として整えられました 。

カバラや秘密結社との出会い

1856年にはエリファス・レヴィがタロットとカバラ(神秘思想)を結びつけました 。さらに1910年、アーサー・E・ウェイトが有名な「ライダー・ウェイト版」を発表し、現代のタロットのイメージが完成したのです 。

20世紀:科学の光で紐解く真実

20世紀後半になると、歴史学者たちの手によって、タロットの成り立ちが科学的に研究されるようになりました 。

「ゲームの歴史」の確立

1980年、マイケル・ダメットが膨大な史料をもとに、タロットがゲームとして発展した歴史を実証しました 。これにより、神秘的な説は「後から作られた文化」として整理されることになりました 。

21世紀:デジタル時代と新たな発見

そして今、タロット起源の研究は新しいステージに入っています。

世界中どこからでも歴史に触れられる

インターネットの普及により、何百年も前の貴重な古文書やカードの画像を誰でも見ることができるようになりました 。

今なお続く、新しい発見

世界中の研究者がオンラインコミュニティで情報を共有し、今この瞬間も新しい歴史の1ページが見つかり続けています 。

タロットのルーツを探る「三大起源説」

タロットの始まりについては、大きく分けて3つの有名な説があります。それぞれの内容と、現在の歴史学での評価を分かりやすくまとめました。

説の名前提唱者・時期どんな内容?(現在の評価)
北イタリア起源説
(唯物歴史の真実)
史料に基づく歴史学者たち【内容】 1440年代の北イタリア(ミラノやフェラーラなど)で、貴族の遊びとして誕生しました 。
【評価】 当時の家計簿や記録が多数見つかっており、歴史的事実として確定しています 。
エジプト起源説
(神秘のロマン)
ジェブラン
(1781年)
【内容】 古代エジプトの知恵が記された「トートの書」が、ジプシーによって欧州へ持ち込まれたという説です 。
【評価】 18世紀当時のエジプトブームが生んだ想像の産物であり、歴史的な根拠はないとされています 。
カバラ起源説
(魔術的な体系)
エリファス・レヴィ
(1856年)
【内容】 22枚の大アルカナと、ユダヤ神秘思想「カバラ」の22文字を対応させた説です 。
【評価】 19世紀の思想家による「後付けの体系化」ですが、現代の占いの基礎として定着しています 。

歴史と文化を分けて考える: 学術的な「正解」はイタリア起源ですが、エジプト説やカバラ説が「間違い」というわけではありません 。これらは19世紀以降、タロットをより深く、神秘的に楽しむための「新しい文化」として大切に育てられてきたものなのです 。
「正しさ」よりも「深まり」を: 「昔の人はこんな風にカードに夢を馳せていたんだな」と感じることで、リーディングのインスピレーションもより豊かになるはずです。

タロット起源のよくある「気になる!」

タロットの起源について、よくいただく質問

Q
タロットは、結局いつ・どこで生まれたの?
A

15世紀の前半(1440年頃)、イタリアの宮廷で誕生しました 。当時は占い用ではなく、貴族たちが楽しむ「トリオンフィ(凱旋)」という名前のカードゲームだったんですよ 。

Q
なぜ「エジプトが発祥」という説が生まれたの?
A

18世紀のヨーロッパで起きた、空前のエジプトブームがきっかけです 。当時の研究家ジェブランが、カードの絵柄を見て「これは古代エジプトの失われた知恵だ!」と直感的に発表したことで、人々のロマンを刺激して一気に広まりました 。

Q
昔から占いに使われていたわけではないの?
A

はい、実はそうなんです 。タロットが占いとして本格的に使われるようになったのは18世紀の末からで、それまでは純粋にゲームとして愛されていました 。

Q
じゃあ、今のタロット占いは「間違い」なの?
A

そんなことはありません! 歴史的なルーツはゲームでしたが、19世紀以降に積み上げられてきた占いとしての体系は、一つの素晴らしい「文化」であり「思想」として確立されています 。歴史を知ることで、より深くカードの世界を楽しめるようになります。

Q
「三大起源説」以外はどんな起源説があるの?
A

ロマ(ジプシー)伝来説が、有名です。放浪の民であるロマがエジプトでなくインドや中東からヨーロッパへ持ち込んだという説。現在では歴史的な時系列の矛盾から否定的に見られています。
また、占星術から分離した説、キリスト教の滅ぼされた古代の宗教の名残り説などが存在しました。

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